音源があがってから3週間。
わけあって封印していた平沢進のニュー・アルバム『変弦自在』だが、発売日も迫ってきてそうも言ってられなくなったので開封することとする。
これも仕事だ。
一聴したところの第一印象を列挙してみる。
01: 夢みる機械
ナイロン弦からスカラ・プールへ。アースを取ってスパークで奏でる。優雅な調べでヒエロニムスの回路を通る。大太鼓打ちすぎ。
02: サイレン*Siren*
一団が棺を掲げて角を曲がってくる。小太鼓打ちすぎ。警報鳴りすぎ。神田川の増水じゃないっつーの。泣くっつーの。
03: MOTHER
母になった千代子がどこまでもいつまでも疾走していく。タイ語の経文に乗って。
04: 金星
雷雨の去ったアンデスの空に輝く宵の明星。
05: バンディリア旅行団
低解像度アナログから高解像デジタルHDへ。進化したペルーの草原の中継映像。ティンパニ鳴らしすぎ。
06: トビラ島(パラネシアン・サークル)
ナイロン弦で祝うポリネシアの火祭り。倍量の薪で燃える。地表を埋め尽くす暗雲のごときありえぬ低音。ストレス・ボンドのごとく襲来す。
07: 環太平洋擬装網
暗黒のAPECを呪詛するがごときシンバルにからむデストロイ・ギター。ピアノだって内部は弦楽器。音数多すぎ重厚すぎ。どこが還弦かわからぬほど台無しにする劇的な素晴らしき終焉。
合い言葉は過剰。
オリジナルとの差別化もあるだろう。
やりすぎと言っていいほどやりすぎている。
けれど「もっとやれ」と言いたくなるほど心地よき豊穣な過剰。
溢れだしてキミへと届くように。
このアルバムは「今敏追悼アルバム」と銘打っているわけではないし、全体がそのように設計されているわけではないだろう。
しかし、少なくとも「サイレン」は追悼曲として作っているし、マスタリング後には仏前試聴会も開かれたくらいだ。
M02〜M06の流れは『SWITCHED-ON LOTUS II』と呼びたくなるくらいである。
その流れを笑いを醸すM01とM07で挟み込んでいるのだから恐るべき調和。
というわけで、やはりこのアルバムはしばらくの間は聴き込むことができそうにない。
よって再封印。
どうせライヴのころのはまた聴くことになるだろう。
2011年1月29日(Saturday) 2:15:48
2011年1月28日(Friday) 23:32:56
2010年11月6日(Saturday) 21:44:50
2010年11月6日(Saturday) 12:03:24