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新説P-MODEL史

本日発売の『キーボード・マガジン 2010年10月号 AUTUMN』の特集「アーティスト列伝 P-MODEL」を電子書籍よろしくPDFで読んでいる。
自分で言うのもなんだが面白い。
いや、自分で書いたところ以外が面白い。

メインであるP-MODEL歴代キーボード・プレーヤの取材記事は感心することしきり、発見も多い。
さすが四本淑三だ。
機材知ゼロ・楽器知ゼロのわたしでは「プレーヤの心ライター知らず」でこうはいかない。
というか、いままでこういう側面から捉えたP-MODELの包括的記事ってなかったのではないか。
キーボード・プレーヤを軸として機材面・サウンド面から見たP-MODEL史。
ほんと新しいP-MODEL像が見えてくるといっても過言ではない。

取材には同席させてもらったのだが、田中靖美というひとは音楽から離れていてもミュージシャン的かつノン・ミュージシャン的でめちゃくちゃカッコよかった。
同行した特集企画者・中井敏文(モノグラム)感涙。
よく似ていると言われる初期XTCと初期P-MODELだが、同じフレーズも同じ音色も使ったことはないそうで、似て聞こえるとすれば、バンドのアンサンブルのせいであろう、と。

國崎晋編集人が特別寄稿したコラム「跳ねる田中靖美」も名文だなあ。

詳細な解凍P-MODELのサウンド解説ってのも初めてじゃないかな。
ライヴはほとんどシークエンサ任せだとみんな思ってたはず(自分だけか?)だが、リアルタイムで処理していた部分も多かったという。
ヤスチカのキックが実は音は出ていなくてシークエンスのテンポを作るためのトリガーだったとか、驚き。
あの「キーボード要塞」は伊達ではなく、裏では信じられないほどキテレツなことをやっていたらしい。
あ、詳細は記事を読んでくださいね。
そういえば記事にはならなかったけど、80年代のことぶき光がいっつもライヴでガム噛んでたのは、緊張感を高めるための彼なりの工夫だったらしい。

中野泰博Mecano店長による全アルバム・レヴューもものすごい勢いで「P-MODEL早わかり」できちゃう力作。
スペースの都合で入れられなかったけど、廃盤となっている解凍P-MODELの2作は「ゴールデン☆ベスト」というカップリングで入手可能なので、ぜひMecanoで買おう。

話は前後するが、自分で書いたP-MODEL略史も、細かいことは忘れて短くまとめることで実は自分なりに発見があった。
これまで見えなかった骨格が見えたというか。
けど、あんまり書けることじゃないなあ。
要は『パースペクティヴ』でP-MODELはいったん終わってるってことなんだけど、わかるひとにはわかるよね。
掲載された文章自体はビギナー向けで新しい情報なんかないので、予備知識がある方は2ページとばしてください。
あ、その2ページにも写真は珍しいのもあるか。
ほかのページも含めて書籍『音楽産業廃棄物』には載っていないレア写真がけっこうあります。
よく見る写真にしてもやっぱり大きいと迫力が違うしね。

一応、ラストには平沢進のインタヴューもあって、例の煙に巻く名調子で楽しませてくれる。
いつも感心するのは、この記事によらず田中靖美と平沢進の発言というのは、申し合わせたように整合性がとれていること。
不思議に思って平沢進に質問してみたことがあるのだが「なぜ田中とはP-MODELを共有できたかがわかるでしょ」との答え。
P-MODELはノイズと誤用のバンドである、か。
最後の最後で14ページにわたる大特集を台無しにするような「オチ」までつけてくれてちゃってる。

キーボード・マガジン

キーボード・マガジン 2010年10月号 AUTUMN 2010.年9月10日発売 リットーミュージック

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