今回は字が潰れそうなので、フォントをデカくします。
どうも不自然で、なんらかの作為を感じないでもないが、まあ、それはさておき。
果たして大麻は「麻薬」なのだろうか。
現状で大麻の所持が非合法なのは事実であり、大麻取締法の存在に賛成するにしろ、反対するにしろ、なんらかの意見を持つためには、大麻に関する正しい知識が前提となるだろう。
その際、正しい知識を得るうえでもっとも大きな阻害要因となっているのは、実は「麻薬」という表記ではないかと、わたしは思う。
「麻薬」というのは本来「痲薬」と表記するのが正しい。
「麻」は「痲」の代用漢字であり、両者は漢字本来としての意味はまったく違う。
「麻」は植物のアサであり、しびれるという意味はない。
「麻酔」は「痲酔」であり、これまたアサは関係ない。
大麻に酔うこともあるだろうが、その程度で開腹手術されては、たまったものではない。
「麻痺」も「痲痹」である。
(「痹」は「やまいだれ+(鼾-干-自)」…文字化けしてないかな)
「痺」も実は「うずらの雌」という意味で、しびれるという意味はなく、誤用なのである。
「麻婆豆腐」にアサは入っていない。
シビれる辛さだから「痲婆豆腐」…というのはウソで、アバタのババから来ているらしい。
http://gogen-allguide.com/ma/m……doufu.html
しかし、アバタの意味も「麻」ではなく「痲」であるから、やっぱり「痲婆豆腐」のほうが正しいのではないか。
「麻疹」も「痲疹」であるが、これは当て字で、アバタとは関係ないという話があるが判然としない。
蕁麻疹は蕁麻(イラクサ)からきているので、蕁麻疹でいいらしい。
脱線した。
閑話休題。
なにも難しい漢字を使えば偉いということを言っているわけではない。
難しい字はわたしだって書けないし、誤字・脱字・誤変換もよくやる。
ただ、漢字本来の意味を知らなければ、間違った知識を得ることがある、と言いたいわけだ。
言葉は時代とともに変化するとはいえ、漢字の誤用、俗用は、結果として誤った知識を流布することにもつながるのである。
痲薬を向精神薬一般を指すものと解釈すれば、大麻も入らないことはないだろうが、痲薬の本来の意味は「しびれぐすり」であり、狭義ではアヘンを指す。
昔は痲酔もアヘンで行ったのである。
アサとはなんら関係ないのだ。
(大麻にも鎮静・鎮痛作用はあるようだけど)
しかし「痲薬」を「麻薬」と表記することによって、いかにも大麻が痲薬の一種であり、アヘンやコカイン、覚醒剤と同列のものであるようなイメージが醸成される。
もちろん、大麻を危険視し、使用を禁止・制限すべきだという意見もあっていいが、いわゆるソフト・ドラッグとハード・ドラッグをごっちゃにして語るのは、賛成・反対いずれの立場にあるにせよ、たいへん危険である。
現行法でも、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、あへん法、と分かれているのだから、これらをごっちゃにしてはいけない。
当用漢字、常用漢字という漢字使用制限の押しつけからくるデタラメな表記法が、誤った知識や先入観を広めた好例と言えるだろう。
2011年1月29日(Saturday) 2:15:48
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