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万祝 完結

望月峯太郎の『万祝』が完結した。
『ヤングマガジン』2002年39号から2008年16号の連載なので5年以上だ。
偉大なる失敗作(と勝手に呼んでいる)『ドラゴンヘッド』の次作に当たり、連載開始当初は、主人公・大和鮒子の明るくくったくないキャラクタに「作者も楽しんで描いてるなあ」とほっとしたものだ。

こちらのほうが望月峯太郎本来の持ち味だとも言えるし、やっぱり『ドラゴンヘッド』はあまりに長いトンネルだった。
闇の中で必死に光を見出そうとしながら、どうしてもネガティヴにならざるを得なかった『ドラゴンヘッド』に比べ、こちらは光り輝く海から物語は始まる。
言ってしまえば、少年少女が主人公の、夏休みの冒険譚である。
暗くなりようがない。
連載期間は長くても、物語上の実時間は短いのだ。

もちろん、明るく楽しいだけの話なわけではないし、カトーという闇を抱えた青年も対峙している。
生きることの意味を必死になって探し求める姿を描くという点は、前作『ドラゴンヘッド』を含め、ほかの望月作品と共通している。
主人公が17歳の少年と16歳の少女という違いはあれど、望月峯太郎が少年期に影響を受けたと思われる『漂流教室』や『十五少年漂流記』そして『宝島』といった素晴らしい少年少女の冒険世界を、自分のマンガ世界で描き直すという点でも前作『ドラゴンヘッド』は共通している。
(そういえば、少女が主人公の長篇は初めてか)
陳腐な言い方になるが、やはり『ドラゴンヘッド』の闇を通過したからこそ、このきらきらと眩しい世界を描けたのだろう。

万祝

Amazonのレヴューを見たら、内容ではなく、11巻の薄さを批判して、10巻と合本にすべきだと怒っていたひとがいたけれど、わたしは、そういえば『日出処の天子』の11巻もそうだったなあ、と思い出して懐かしくなりました。

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