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発掘原稿: Limbo-54 への道 (9)

インタラクティヴ・ライヴ「Limbo-54」とAMIGAの仕込みに関する発掘原稿です。
2002年のことを2003年になって思い出しながら書いているようです。
本文のあとに『来なかった近未来』よりAMIGA4000の解説を引用。


Interactive Live 2003 への道– その9 — PowerTowerは2度死ぬ篇

2002年8月6日、筑波にある平沢さんのスタジオへと搬入されたPowerTowerA4000がその後どうなったかといいますと、まったくの役立たずぶりを発揮していました。

その症状はといいますと、起動しない(笑)。
起動中に調子が悪くなるのではなく、起動する時としない時があり、最初は起動率50%くらいだったのが30%を切るようになり、終いには0%すなわちまったく起動しないという事態に。

原因はぐらついていたPARボードの接触不良などいろいろ想像されました。
最悪なのは炎上事件の再来ですが、電源すら入らないということはないそうでLEDやリセットスウィッチが外れてショートしているということはないようでした。
電源は入るが、濃いグレー画面が出るだけでFDにもHDにもアクセスせずまったく起動しない状態らしいです。
平沢さんの調査によると、どうやらPARよりもドータボードがあやしいとのこと。

となると、やはりマザーボードの不良でしょうか。
マザーボード1号の返品によってやってきたこのマザーボード第2号もかなり汚れた中古品でした。
ニッカド充電池は外され、コイン電池ホルダに付け替えられていましたが、時計機能は働かず、どうやらこのマザーも時計チップが死んでるようです。
液漏れ痕もあり、信頼性が低いです。

しかし、原因を探っている暇はなく、そろそろ平沢さんの新作スケジュールが迫ってきています。
作曲にはAmigaが必要です。Bars & Pipes なくして平沢さんは作曲できません。

というわけで、8月15日、PowerTowerA4000は筑波から戻ってきました。まるで出戻り娘です。
しかし、お預かりしていた平沢さんのA4000もHighFlyerも、まだまともに動きません。
入れ替わりに筑波へ旅立ったのはわたしの4000Tです。頑張って奉公してくるのだぞ。

ところで、わたしは常日ごろ無機物や動物を擬人化した表現は、するべきでないと周りの者を戒めております。
しかし、ことAmigaに関してはついつい擬人化してしまいます。なぜなんでしょう。

それはさておき、出戻りPowerTowerはいろいろいじくっているうち動くようにはなりました。
原因はやはり、ZIII/PCIドータボードのようです。
ドータボードが悪いのか、マザーボード側のコネクタが悪いのかはわかりませんが、かなりネジをきつく締めて圧着しないと接触不良を起こし、そのエラーのために起動しないようです。
ドータボードの接触不良時にはハードディスクにもアクセスせずシーンとなっている、もしくは真っ暗な画面にノイズが走るという状態になります。
単なる接触不良ならば、ドータボードを認識しないだけで起動してもよさそうなものですが、それ以上は素人のわたしにはわかりません。

さらに悪いことには、PARがぐらつかないように押し込むとドータボードが浮き、ドータボードを押し込むとPARが浮くというまさにあちらを立てればこちらが立たず状態。
ちなみにPARの接触不良時にはハードディスクにはいくが立ち上がらない、または画面が黄色くなったりノイズが走ったりするいう状態になります。
ひょっとするとマザーボードのパターンのどこかに亀裂が入っているのかもしれません。

とにかく、このような状態では「おうちで使う用」ならまだしも、輸送の衝撃にも、ライヴ中の振動にも耐えられないことは確実。
SoftwareHutとの返品交渉にはひと悶着ありましたが8月20日、マザーボード2号はアミーリカへと帰っていきました。
中古とはいえ、保証付きでほんとよかったです。

このころ実は、Windows版のScalaを使うのはどうか、という検討も平沢さんはされていました。
しかし、オーバーレイをはじめとしてAmiga版Scalaでないと達成できない機能があり、見送られる結果となりました。
そんなこんなでやっぱりAmigaじゃなきゃいけないわけですが、こんなに問題山積で次回はいったいどーするよ。


『来なかった近未来』より

AMIGA4000

新世代チップセットAGA搭載のデスクトップ機。
グラフィック分野でのプロフェッショナル・ユースを想定したフラッグシップ・モデルで、72pinのSIMMスロットやIDEインタフェイスを搭載するなど、AT互換機やMacintoshを意識した設計となった。
拡張スロットはAMIGA3000との互換性が高く、アクセラレータやVideoToaster4000をはじめとする多種多様な拡張ボードが発売された。
AMIGA2000と比べると筐体が小さいため、より拡張性を高めるタワー化キットもサードパーティからリリース。
2000年以降もPowerPCアクセラレータやPCIバスなど、新しい拡張機器が発売されている。

AMIGA4000

平沢進が使用していたAMIGA4000

AMIGA4000T

Commodore倒産後に Amiga Technologies(Escom)からリリースされたフルタワー型のワークステイション。
Commodore末期の1994年に極小ロットがリリースされたA4000Tとは、筐体デザインもマザーボードも異なる。
基本性能はAMIGA4000と同じだが、IDEコントローラとSCSIコントローラの両インタフェイスを搭載し、デストップ型のA4000に比べドライブ・ベイや拡張スロットの数も多く拡張性は遙かに高い。
Videoスロットが2本あるため、PicassoIVなどのグラフィック・カードとVideoToasterの両方を同時に搭載できる。

AMIGA4000T

インタラクティヴ・ライヴ“LIMBO-54”でも使用されたAMIGA4000T

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