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ケラ&中野テルヲメモ

ケラ&ザ・シンセサイザーズ × 中野テルヲ
2011/12/18(Sun) at 新宿LOFT

●「中野テルヲ納め」かつ「シンセサイザーズ始め」となるライヴ。そう、諸事情によりシンセサイザーズは久しぶりなのだ。
●10日前のことなので記憶が定かではないが、開演前には『Music For Airports』かなんかが流れていた、気がする。

中野テルヲ

●中野テルヲは高円寺HIGHの2階席から観ることが多いので、真っ正面最後列というのは新鮮。センサを操作する手の動きがいつもより大きく派手に見えるのは気のせいか機材配置のせいか。
●ただ、前半はどうにも音が小さいのが気になった。バランスは悪くなく、各音源やヴォーカルもよく聞こえるのだがサウンドの密度が低い。
●終演後に、中野テルヲや高橋芳一と話したところ、気のせいではないようであったが、天井が低く客に音が吸収されやすいというLOFTの構造上の問題が大きいようだ。
●そんな粗も気にならなくなったライヴ中盤、予想(期待)通りにケラとみのすけが登場。ロング・バケーションとしてカヴァーしたザ・モノクローム・セットの「The Ruling Class(支配階級)」を中野ソロ的アレンジで演奏。
●再会は昨年。2010年10月2日に同じ新宿LOFTで行われた中野テルヲのライヴ打ち上げに、LOFT/PLUS ONEでトーク・ライヴを終えたケラが合流。1995年のロング・バケーション活動休止後、15年ぶりになるケラとの再会を中野テルヲは喜んだという。
●その夜、ケラもこんなことをtweetしていた。「帰りに犬山と緒川さんとロフトに寄って、中野テルヲらに挨拶。中野くんと来年何かしら一緒にやりたいもんだと話す
●アンコールで大々的にというわけではなく、中野テルヲのステージ中にさらりと1曲だけやるというのがカッコいい。なにごともなかったかのようにソロへと戻る。これは美意識だろう。
●そういえば、ケラも8月末に「年内に、ほんの数曲でも数分でもいいから、久しぶりに中野テルヲと人前で何かやれないかと考えている。みのすけも呼べるといいな。まだ考えてるだけだが」と言いながら「(ロング・バケーション再結成のような)そんな大仰なアレではなく。ひっそり」とtweetしていた。
●「行っちゃえ!」と始まったラスト前「Let’s Go Skysensor」でマシン・トラブルというのもよい中野納めであった。

ケラ&ザ・シンセサイザーズ

●前回は「渋谷クラブクアトロで観た」ということだけ記憶している。たぶん96年あたりだから、5年ぶり。申し訳ございません。
●演出家として名をなしてからケラを知った世代は、もしかしたらバンド活動を余技とかお遊びと思っているかもしれない。しかし、かつてケラは音楽と芝居の両方やってないとバランスがとれないということを常に言っていたし、それはいまも変わらないだろう。
●自分のように音楽から入った世代は、最初のうち「劇団健康」をお遊びだと思っていたくらいだが、それもまた間違いであった。
●tweetを探しても見つからないので不確かだが、ケラは「どうしてバンドは芝居みたいに客が入らないんだろう」みたいなことを言っていた。これは本気なのだろう。そういえば以前は「演劇では日本で5本の指に入ってしまうようになっちゃったけど、音楽ではそうはいかない。やはり芝居のほうが世界が小さく、音楽のほうが層が厚い」(大意)ということも言っていた。
●演劇も本気だし、音楽も本気。最終的に表現したいことも同じなのではないか。ただ、芝居のほうは(作品にもよるが)練りに練った複雑で論理的な構成で、ケラ個人に興味のない客も楽しませるようになっている。
●いっぽう音楽はケラそのものだし、表現がもっとストレイトだ。特にケラ&ザ・シンセサイザーズは、バンド名が示すように、その色合いが強い。なにより、ケラがいかに最高の気分で歌えるかが重要だし、バンドもそのために最高のサウンドを目指す。これが共有できれば、受け手も最高の気分になれる。
●シンセサイザーズは有頂天の曲もやればルースターズのカヴァーもやる。なんでもありだ。外野としては「これが有頂天です」と言ってもよいのではないかと思うが、ケラにとってそれはありえないことのようだ。いっそ元メンバがふたりもいるP-MODELと名乗るほうがまだアリなくらいに。
●アンコールでふたたび、みのすけがアコースティック・ギターで加わっての「ケムリの王様」は、わたしもケラとよきものが共有できた気がして昂揚した。終演後、バンド・マスター三浦俊一も満足げであったし、ケラもこんなふうに振り返っている。
●「仕事納め3DAYS終了。ケラ&ザ・シンセサイザーズロフト2DAYS、二日目の共演は中野テルヲ。みのすけも呼んで、あの三人で15年ぶりに一曲。楽しかったよ。シンセサイザーズのステージも、やりきった感があるのではないか。皆さんお疲れ様でした。来てくれた方ありがとう

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