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DEVOは半ズボンをはいたか

8月11日(月) DEVOの来日公演(渋谷AX)へ行ってきた。

DEVOのフェスティヴァル参加での来日については年頭に某レコード店オーナーからきいていたが、それはぜんぜん行く気はしなかった。
40代にとっていわゆる夏フェスなどというものは地獄である。
しかも、DEVOはニュー・ウェイヴのリスナーにとって最重要用バンドのひとつだが、実はわたし、そんなに思い入れがない。
アルバムだって揃えていない。
だが、単独公演もやるらしいと聞いて迷った。
どうしようかな〜、武道館も観てないしな〜。
でも、前座があるし、スタンディングだしな〜。
と、考えあぐねていたら、まだAXの2階席が空いていることがわかり、決心。
死ぬ前に1回は観とこ。

前座はポリシックス。
考えると彼らもメジャー・デビューから10年である。
たとえばロックン・ロールやブルーズというジャンルの音楽は「極める」という言葉が似つかわしく、同じ音楽スタイルを40年続けていたっていいことになっている。
しかしながら、初期DEVOや初期P-MODELのようなパンク/ニュー・ウェイヴ、バンド・スタイルのテクノ・ポップというのは初期衝動の最たるもので、同じスタイルを延々と続けるもんではない。
変化してナンボである。
しかしながら、彼らはそれをひとつの「芸」「スタイル」として10年以上続けているのである。
初期ルースターズはよく「どの曲がカヴァーでどの曲がオリジナルかわからない」と言われたものだが、ひとつのスタイルとして完成したR&Bというジャンルは、そういうもんだろう。
ところがポリシックスの場合、ニュー・ウェイヴでありながら、カヴァーなんだかオリジナルなんだかわからない曲ばかりやっているし、そもそもオリジナリティなんか目指していないのではないかと思う。
これはこれで偉い。

さて、45分ほどでポリシックスは終了。
前の席にはシャンプーの折茂さんとPEVOさん。
セット・チェンジして22:00。
DEVOのヒストリーを追ったようなPVのリミックス上映に続いていいいよメンバー登場。

げ……太っている。

Webで顔写真しか見ていなかったのでわからなかったが、ボブ1号とサポート・ドラムであるジョシュ・フリーズ(ドラマーは事前にアナウンスされたジョシュではなかったというもある)以外、つまりマーク、ジェリイ、ボブ2号の3人は巨漢と言っても過言でないほど太っている。
先日も学生時代の友人に「ピストルズ行かないの?」と訊かれて「でぶっちょ4人組になったピストルズなんか行かないよ、P.I.L.は観てるし」とか答えたところだったのだが、DEVOよ、お前もか。
http://www.clubdevo.com/mp/live.html

前半はでぶっちょ3人がキーボード、それにギター、ドラムという編成。
「THAT’S GOOD 」「PEEK-A-BOO!」「WHIP IT」とか、3rd以降の曲をやったと記憶している。
紙でできたツナギがはち切れんばかりである。
しかし、なんかこれはこれでコミカル度、変態度が増していていいような気がしてくるから不思議だ。

にしても、うまいバンドなんだなと妙に関心する。
マークも驚くほど声が出ている。

中盤からは、ギターx2(時にx3)、ベース、キーボードという初期編成へチェンジ。
「SECRET AGENT MAN」「UNCONTROLLABLE URGE」「SATISFACTION」「MONGOLOID 」「JOCKO HOMO」といった1st〜2ndのナンバーで突っ走る。
そう、ツナギを破き、半ズボンになり、疾走したのだ、初老と言っても過言ではない、でぶっちょ3人が。
マークは「SATISFACTION」でエフェクターをくっつけたヘンなギターを弾いたり、はたまた「MONGOLOID」で放送禁止のパフォーマンス(そもそも曲そのものがアレだ)も見せたり、メンバー全員でビニール製のカツラ(?)かぶったり、サーヴィスしまくり。
「変態バンド」「元祖テクノ・ポップ」のイメージが強いDEVOであるが、ライヴだオーソドックスなギター・バンドの側面を顕わにする。
うっかりヴェンチャーズとか、寺内タケシとブルージーンズといったものまで連想してしまうパフォーマンスだ。

本篇ラストが「GATES OF STEEL(鉄の扉)」で、アンコール1曲目が「FREEDOM OF CHOICE(自由という名の欲望 )」というのも、個人的に非常に好きな曲なので盛り上がった。
アンコールのラスト「BEAUTIFUL WORLD」をオカマのBooji Boy(?)パフォーマンスで締めくくったマークだが、ケーキはコントのようにメンバーの顔にぶつけるかと思ったら、やらんかったね。

とにかく、ほんとに観ておいてよかったと素直に思えるライヴであった。
DEVOがこんなにすごい「ライヴ・バンド」であるとは、知らずに死ぬとこでしたよ。
どうもわたしは「アイディア先行の頭でっかちバンドだから演奏なんてできません」という彼らが擬装していた「イメージ」にまんまとだまされていたらしい。
初来日当時は、武道館でどうするの、ライヴなんて行ったってしょうがないじゃん、くらいに思っていた。
ヘタなのに上手いフリするミュージシャンは多いけど、その逆を演じなくてはならないとは、ポリスにも通じる。
ぜんぜんタイプは違うけど。

そして、ライヴを観ながら、来年で結成30周年を迎えるP-MODELのことを考えたりもした。
もしも平沢進がこのライヴを観ていたら、80年代P-MODELを再結成してもいいじゃないかと思ってみたりしたんじゃなかろうか。
やんないだろうけど(笑)。

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